
理事長就任のご挨拶
このたび、一般社団法人日本線維筋痛症・慢性痛学会の理事長を拝命いたしました。歴代の理事長をはじめ、本学会の発展にご尽力くださった諸先生方、そして学会活動を支えてくださっている会員の皆様に心より敬意と感謝を申し上げます。
本学会は、線維筋痛症をはじめとする慢性痛に関する学術研究を推進するとともに、患者さん一人ひとりが適切な診断・治療・支援を受け、安心して生活できる社会の実現を目指して活動を続けてまいりました。近年、痛みのメカニズムに関する研究は大きく進歩し、「痛覚変調性疼痛」という概念の普及や、脳・神経・免疫・心理・社会的要因を含めた多面的な病態理解が進んでいます。一方で、診断の遅れや医療機関へのアクセスの問題、社会的理解の不足など、依然として多くの課題が残されています。
線維筋痛症や慢性痛は、一つの診療科や一つの専門職だけで対応できる疾患ではありません。内科、脳神経内科、整形外科、リウマチ科、麻酔科・ペインクリニック、心療内科、精神科、小児科、歯科をはじめ、鍼灸師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、公認心理師など、多職種がそれぞれの専門性を持ち寄り、患者さんを中心に協働することが不可欠です。本学会は、このような学際的な交流と連携を促進し、それぞれの専門性を尊重しながら、患者さんにとって最適な慢性痛医療を実現する場として、さらに発展していきたいと考えております。
また、私たちは、基礎研究から臨床研究、診療ガイドラインの整備、教育活動、社会啓発までを一体として推進し、研究成果を診療や患者さんの日常生活へ還元し、より良い医療として社会に実装していく学会でありたいと考えています。診断精度の向上、新たな治療法の開発、さらには患者さんの生活の質(QOL)の向上につながるエビデンスを着実に積み重ね、社会へ発信してまいります。
さらに、本学会が次世代を担う若手医療従事者・研究者にとって魅力ある学びと挑戦の場となるよう努めるとともに、患者会や関連学会、行政との連携を一層深め、社会全体で慢性痛に向き合う環境づくりを推進してまいります。
線維筋痛症や慢性痛は、患者さんご本人だけでなく、ご家族や社会にも大きな影響を及ぼす重要な健康課題です。本学会が学術的発展と社会貢献の両輪を大切にしながら、患者さんに寄り添い、新たな希望を生み出し続ける学会であり続けられるよう、会員の皆様とともに歩んでまいりたいと存じます。
今後とも皆様のご支援、ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年4月吉日
日本線維筋痛症・慢性痛学会 理事長
山野 嘉久









