理事長挨拶


このたび、新生の一般社団法人日本線維筋痛症・慢性痛学会の理事長を拝命致しました順天堂大学の臼井千恵と申します。理事長就任にあたって、皆様に一言ご挨拶を申し上げます。

日本線維筋痛症学会は、2007年9月に線維筋痛症研究会から発足し、西岡久寿樹初代理事長、並びに横田俊平前理事長の牽引により、線維筋痛症及び関連分野の科学的発展に貢献するとともに、患者さんやそのご家族に適正かつ質の高い医療・ケアの提供と社会・国民への本疾患の啓発を目的に、様々な活動を行ってまいりました。

わが国では、線維筋痛症は推定200万人以上の患者さんがおられ、一方、慢性痛患者さんは2,300万人以上もおられますが、これら患者さんに適正な医療を提供できる医療機関が十分でない現状を打破することは喫緊の課題です。そのような中、痛みの国際的分類が改定され、第三の痛みとして、"痛覚変調性疼痛"という新たな概念が提案されました。線維筋痛症はまさに、"痛覚変調性疼痛"のprototypeであり、線維筋痛症を取り組む本学会の発展は慢性痛の発展に必要不可欠であります。そこで、これまで以上に線維筋痛症および慢性痛についての最高水準の学術研究を推進することを学会のmissionとして、社会に正しい知識を広め、患者さんが早期の診断と身近な医療機関で適切な治療が提供できるよう、情報提供や啓発活動を積極的に行ってまいります。

会員の皆様、あるいは未だ学会会員でない方々にはぜひご入会をご検討いただき、皆様と熱い議論を交わし、共に立ち向かい、線維筋痛症および慢性痛に苦しむ患者さんのより良い医療・ケアや生活の質(QOL)の向上を実現してまいりたいと存じます。 何卒よろしくお願い申し上げます。

2023年4月吉日
日本線維筋痛症・慢性痛学会 理事長
臼井 千恵